退去時の網戸の張り替え・破れ費用は払う?負担の線引きと相場の目安を解説
賃貸退去時の網戸の張り替え・破れ費用は払う必要があるのか、借主負担と大家負担の線引きを引越し16回の転勤族が解説。経年劣化・日焼けは大家負担、破った・外して紛失は借主負担という基準と、1枚あたりの費用の目安、全枚数請求への対処までまとめます。
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退去の立会いで担当者が窓辺をのぞき込み、「網戸、破れてますね。張り替えになります」と言われて、「これも自分が払うの?」と身構えたことはありませんか。
引越し16回・転勤族として何度も退去精算をくぐってきた立場から、先に結論を言います。網戸の張り替え費用は「全部・全枚数・全額」を借主が払うものではありません。日焼けによる変色やゴム(押さえゴム)の劣化、長年の使用でパサついた網は「普通に住んでいれば生じる傷み」として大家負担とされるのが原則で、借主が払うのは「不注意や故意で破った・大きく傷つけた・外して紛失した」場合が中心です。
私自身、若い頃は「網戸は消耗品だから退去時に張り替えて当然」と思い込み、言われるまま全枚数の費用を払っていました。原状回復のルールを知ってからは、立会いで「これは経年劣化では?」「破れた1枚だけの費用ですか?」と確認できるようになり、精算額が変わりました。網戸はクロスやフローリングに比べて金額は小さい項目ですが、線引きの考え方はまったく同じです。
この記事では、退去時の網戸の張り替え・破れ費用について「払うもの・払わなくていいもの」の線引きを軸に、国土交通省ガイドラインの考え方、1枚あたりの費用の目安、全枚数の張り替えを請求されたときの対処までを整理します。
📌 結論(先に書きます)
- 網戸の費用は「借主の不注意・故意か」「自然な使用・経年か」で負担が分かれる
- 日焼けによる変色・網のたるみ・押さえゴムの劣化は、原則として大家負担
- 足を引っかけて破った・物をぶつけて穴を開けた・外して紛失したは借主負担になりやすい
- 借主負担でも網戸の「網」は消耗品で、年数が経つほど負担は小さくなるのが原則
- 費用は「1枚あたりの張り替え単価 × 枚数」で計算するのが基本
- 破れは1枚なのに「全部屋・全枚数の張り替え」を全額請求されたら確認する
- 揉めないコツは入居時に網戸の既存の傷みを写真で記録しておくこと
網戸の張り替え費用は誰が負担する?|基本の考え方
まず大前提です。退去時の修繕費の負担は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の考え方が基準になります。
ガイドラインの核心はシンプルで、「普通に住んでいて生じる傷み(通常損耗・経年劣化)は大家負担、借主の不注意や故意で生じた汚れ・破損は借主負担」という線引きです。
網戸も同じで、
- 普通に開け閉めしていれば避けられない網の劣化・変色 → 大家負担
- うっかり・乱暴・手入れ不足でつけた破れや穴 → 借主負担
という二択で判断していきます。網戸を一律で「退去時は全枚数張り替えが当たり前、費用は借主負担」とされるのは、この線引きに反する可能性があるわけです。
⚠️ 「網戸は消耗品だから借主負担」は鵜呑みにしない 「網戸は消耗品なので、次の入居者のために張り替え費用をお願いします」と言われても、それがすべて借主負担になるわけではありません。消耗品だからこそ「経年で自然に傷む部分」は大家側が負担すべき、という考え方が成り立ちます。負担区分を知らないまま署名すると、払わなくていい分まで受け入れてしまいます。
原状回復費全体の相場や経年劣化の考え方は原状回復費用の相場と負担の線引きで詳しく解説しています。網戸に限らず、退去費用の土台になる知識なので先に読んでおくと理解が早いです。
大家負担になりやすい網戸の傷み
具体的に見ていきます。次のようなものは、原則として大家負担(借主が払わなくてよい)とされやすいケースです。
| 網戸の状態 | なぜ大家負担になりやすいか |
|---|---|
| 日光(紫外線)による網の変色・色あせ | 経年・自然現象で避けられないため |
| 長年の使用による網のたるみ・パサつき | 通常使用による経年劣化のため |
| 押さえゴム(網を固定するゴム)の硬化・劣化 | 通常使用で自然に進む劣化のため |
| 網全体の自然な目詰まり・汚れ | 通常の使用範囲とされやすいため |
| 開け閉めによる枠の自然な摩耗 | 通常損耗にあたるため |
これらは「あなたがそこに住んで、普通に網戸を使った結果」生じるものです。住めば必ずある程度は進む傷みなので、その費用まで借主に負わせるのは原則として不当、というのがガイドラインの立場です。
💡 「網がたるんでいる」だけなら経年の範囲 網がたるんできた、色があせてきた、というのは年数が経てば自然に起きることです。これらは通常損耗・経年劣化の範囲とされやすく、借主が張り替え費用を負担する根拠にはなりにくいです。一方で、明らかに人が破った穴や裂け目は別の扱いになります。「自然にそうなった」のか「何かをして傷つけた」のかが分かれ目です。
クロスや床など、ほかの原状回復項目の線引きもセットで知っておくと判断がぶれません。退去時のクロス(壁紙)張り替え費用、退去時のフローリングの傷・へこみ費用もあわせてどうぞ。
借主負担になりやすい網戸の破れ・破損
逆に、次のようなものは借主負担になりやすいケースです。
| 網戸の状態 | なぜ借主負担になりやすいか |
|---|---|
| 足や体をぶつけて破った大きな穴・裂け目 | 不注意・過失によるため |
| 物をぶつけて開けた穴 | 通常使用を超える破損とされるため |
| ペットの引っかき・噛みによる破れ | 通常使用を超えるとされるため |
| 網戸そのものを外して紛失・破損した | 設備を失わせた・壊した扱いになるため |
| 無理な開閉で枠を曲げた・外れた | 乱暴な使用による破損とされるため |
共通するのは「気をつけていれば防げたはずの破損」という点です。ガイドラインの言う「善管注意義務(普通に注意して使う義務)」を怠った結果と見なされるため、借主負担とされやすくなります。
特に多いのが、網戸を外して掃除したあと立てかけておいたら倒して破った、あるいは子どもやペットが網を突き破ったというケースです。
⚠️ 網戸の「外したまま紛失」は要注意 網戸は取り外せる構造のため、掃除のために外したあと「どこかにしまったまま見当たらない」「立てかけたまま割れた」というトラブルが起きがちです。網戸は部屋の設備の一部なので、なくしたり壊したりすると借主負担で原状回復を求められます。外した網戸は元に戻し、退去前に枚数がそろっているか必ず確認しましょう。
ペットを飼っていた場合の退去費用全体の考え方はペット可賃貸の退去費用にまとめています。網戸の引っかき傷もこの範囲に含めて考えると整理しやすいです。
網戸の費用は「消耗品」|年数が経つほど借主負担は減る
ここが網戸の費用で知っておくべきポイントです。仮に借主負担になる破れでも、満額を払うとは限りません。
ガイドラインの考え方では、こうした消耗していく部分には「価値が時間とともに下がる」という減価の発想があります。網戸の「網」はまさに消耗していく部分なので、古い網ほど「残っている価値」が小さく、借主が負担する金額も小さくなるという整理が成り立ちます。
考え方をイメージで整理すると、次のようになります。
| 入居からの年数 | 網に残っている価値のイメージ | 借主負担のイメージ |
|---|---|---|
| 入居して間もない | 価値がほぼ残っている | 比較的大きくなりやすい |
| ある程度住んだ | 価値が下がってきている | だんだん小さくなる |
| 長く住んだ | 価値がほとんど残っていない | ごくわずか |
💡 「新品の網に張り替える費用を全額」は過大なことがある 入居してすぐ破ってしまったなら負担が大きくなるのは自然ですが、何年も住んでもう古くなった網を破った場合、「新品同様に張り替える費用を全額」払うのは過大なことがあります。網はもともと劣化が進んでいたわけで、その分は価値が下がっているからです。なお年数や金額はあくまで目安で、契約内容や物件によって扱いが変わります。
つまり、「借主負担かどうか」だけでなく「いくら負担するか」も確認のポイントになります。破ってしまった事実があっても、新品価格をそのまま払う必要があるとは限りません。
網戸の張り替え費用の目安|1枚単価と枚数で決まる
では実際の金額はどう決まるのか。網戸の張り替え費用は、基本的に「1枚あたりの張り替え単価 × 張り替える枚数」で計算します。
| 計算の要素 | 内容 |
|---|---|
| 1枚あたりの単価 | 網のグレード(普通網・ペット用強化網など)や業者で変わる |
| 張り替え枚数 | 破れた1枚だけか、家中の全枚数か |
| 減額(経年) | 入居年数に応じて借主負担分が減額される |
ここで注意したいのが、破れているのは1枚だけなのに「家中の全枚数の張り替え費用」を請求されるケースです。
⚠️ 「破れは1枚なのに全枚数の張り替え」に注意 網戸は1枚ずつ独立した設備です。クロスのように「色合わせのため全面」という事情も基本的にありません。破ったのが1枚なら、原則として補修の対象もその1枚です。家中の網戸を全部借主負担で張り替えると言われたら、いったん立ち止まってください。「張り替えが必要なのはどの網戸ですか」「全枚数交換が必要な理由は何ですか」と確認する価値があります。
費用が小さくても、根拠のない上乗せは積み重なります。請求額に納得できないときの精算明細の見方や交渉の進め方は敷金が返ってこない時の交渉手順にまとめています。一括で払えないときの相談は退去費用が払えないときの分割交渉を参考にしてください。
「網戸の張り替えは借主負担」という特約はある?
網戸の費用でも、賃貸契約の「特約」が関わることがあります。
契約書に「退去時の網戸の張り替え費用は借主負担とする」といった特約が書かれていることがあります。特約があると、ガイドラインの原則より借主負担が広がる可能性があるため、契約時に確認しておきたいポイントです。
💡 特約は「契約時に確認・合意」が前提 特約は、内容が明確で、借主がきちんと認識・合意していることなどが有効性のポイントになるとされています。契約書を読まずにサインした特約でも、いざ退去時にトラブルになることがあります。気になる特約があれば、退去前に契約書を読み返し、立会いで「この特約はどこまでの範囲ですか」と確認しておきましょう。
ハウスクリーニング費用など、ほかの特約とまとめて確認しておくと安心です。詳しくは退去時のハウスクリーニング代を参照してください。
自分で網戸を張り替えてから退去するのはアリ?
「破れた網戸くらい、自分で張り替えてから退去したほうが安いのでは?」と考える人もいます。ホームセンターで網と押さえゴム、ローラーを買えば、数百円〜千円台の材料費で1枚を張り替えられることもあります。
ただし、自分で張り替える前に、その費用が本当に借主負担になるのかをまず確認してください。経年劣化で大家負担になるはずの網戸を、わざわざ自費で張り替えてしまうのはもったいない判断です。
⚠️ DIYは「仕上がり」も見られる 自分で張り替えても、網がたるんでいたり、はみ出していたりすると「やり直しが必要」として結局業者費用を請求されることがあります。DIYで直すなら、たるみなくきれいに仕上げる自信があるときに限るのが無難です。きれいに直せる自信がないなら、無理に手を出さず、負担区分の交渉に集中したほうが損をしにくいです。
壁の穴を自分で直すかどうかの判断軸は退去前の壁の穴・画びょう跡はDIY補修すべき?にまとめています。考え方は網戸にも応用できます。
揉めないための予防策|入居時に網戸の状態を記録する
網戸でも、いちばん多いトラブルは「この破れは入居前からあった」「いや、あなたが破った」という水掛け論です。これを防ぐカギは、入居時の記録に尽きます。
入居時にやっておくこと
- 入居直後に各部屋の網戸の状態(破れ・たるみ・変色)を写真で記録しておく
- 撮影日が分かる形で残す(スマホの撮影日時を活用)
- 気になる箇所は入居時のチェックシートに書き残す
- 網戸の枚数を確認しておく(退去時の紛失トラブル防止)
入居時の写真記録の具体的なやり方は入居時チェックシートと写真記録の残し方にまとめています。退去で揉めない人は、ほぼ例外なく入居時に記録を残しています。
住んでいる間にやっておくこと
- 網戸を外して掃除したら必ず元に戻す(立てかけ放置で破損しやすい)
- ペットがいる場合は網に近づけない工夫をする
- 破れたら放置せず、入居中に直すか管理会社に相談する
💡 「入居時の写真」が最強の交渉材料 退去立会いで「この破れは元々ありました」と言っても、証拠がなければ平行線です。入居時に撮った写真があれば一発で証明できます。私は引越しのたびに、入居初日に網戸を含めて部屋中を撮影するのを習慣にしています。数分の手間で、退去時の数千円を守れます。
退去立会いそのものの注意点は退去立会いの注意点で、立会いに同席できないときの対応は退去立会いに欠席する場合の進め方で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 網戸は消耗品だから、退去時に張り替えるのは借主負担ですよね?
A. 「消耗品だから一律で借主負担」とは限りません。経年や日焼けで自然に傷んだ部分は大家負担とされやすく、借主が負担するのは不注意や故意で破った場合が中心です。しかも経年による減額が考慮されるのが原則です。「全枚数・全額借主負担」と言われたら、内訳と根拠を確認しましょう。
Q. 破れているのは1枚だけなのに、全部の網戸の張り替えを請求されました。
A. 網戸は1枚ずつ独立した設備で、クロスのような「色合わせ」の事情も基本的にありません。破れたのが1枚なら、原則として補修対象もその1枚です。全枚数交換が必要な理由を確認しましょう。
Q. 網戸を外して掃除したら割ってしまいました。負担はどうなりますか?
A. 掃除中に割った・破ったケースは、不注意による破損として借主負担になりやすいです。ただし経年による減額の考え方は適用されるため、長く住んでいれば負担額は小さくなる傾向があります。
Q. 入居したときから網がたるんでいました。退去時に請求されますか?
A. 入居前からあった傷みは借主負担ではありません。ただし証明が必要なので、入居時に写真で記録しておくのが確実です。記録がないと「あなたが住んでいる間にそうなった」とされやすくなります。
Q. 網戸1枚の張り替え費用はいくらくらいですか?
A. 網のグレード・サイズ・枚数・入居年数による減額で変わるため、一概には言えません。あくまで目安なので、具体的な金額は精算明細で「1枚単価」「枚数」「減額の有無」を確認してください。
まとめ|網戸代も「不注意か経年か」+「減価」で決まる
退去時の網戸の張り替え・破れ費用は、「全枚数・全額借主負担」ではなく、不注意で破ったか、自然な使用・経年かで負担が分かれます。さらに、借主負担でも経年による減額があるのはほかの原状回復項目と同じです。
- 網戸の負担は不注意・故意の破損=借主/通常損耗・経年=大家が原則
- 日焼け変色・たるみ・押さえゴムの劣化は大家負担とされやすい
- ぶつけて破った穴・ペットの破れ・外して紛失は借主負担になりやすい
- 借主負担でも網は消耗品で経年により負担額は減る
- 費用は1枚単価 × 枚数で計算するのが基本
- 揉めない最大のコツは入居時の写真記録と枚数確認
引越しを16回繰り返してきて思うのは、網戸は金額こそ小さいものの、「消耗品だから全部借主負担」と思い込むと取られすぎるということです。線引きと減価を知って入居時に記録を残しておけば、不当な請求を防げます。退去で損したくないなら、入居初日の数分の撮影から始めてください。
退去費用の全体像は原状回復費用の相場と負担の線引きに、敷金を取り戻す交渉は敷金が返ってこない時の交渉手順に、退去全体の流れは退去の流れ完全ロードマップにまとめています。あわせて読むと、退去のお金の不安をまとめて解消できます。
📎 引越し費用そのものを抑えたい場合
退去費用と並行して、引越し費用は複数社の相見積もりで大きく下がります。1社の言い値で決めず、比較してから契約するのが基本です。電話のやり取りが苦手なら、専任スタッフが代行してくれるタイプも便利です。
不用品の処分、相場と比べていますか?
同じ量でも業者によって料金は大きく変わります。一括見積もりで複数社を比べるのが、損をしない一番の近道です。
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